賢い人工知能との付き合い方


頭脳労働者の受難時代!?

突然ですが、15年前、今のこの世の中を想像できたでしょうか?


 アメリカの著名な発明家であり、フラットヘッドスキャナーやシンセサイザーを発明し、最近グーグルの経営陣に加わったレイ・カーツワイルは、「2029年までにコンピューターの集積度は人間の脳を超える」と言います。


 ムーアの法則はシリコンチップの集積度の法則ですが、カーツワイルの主張はそのスピードの加速化は真空管やトランジスタの時代から続いており、またこれからも続くというもの。彼はゲノム解析プロジェクト完了時期やチェスにおいてコンピューターが人間を負かす時期などを正確に予測したことでも有名です。


 もちろんこれはコンピューターの集積度の話であり、コンピューターが人間と同じ能力を有するようになるとは言えません。しかし、それに限りなく近い世界がやってきたとき、何が起こるでしょうか。その時期はもう約15年後に迫っています。


弁護士も会計士もいらなくなる

 2014年にHumans Need Not Applyという動画がイギリスで発表され話題になりました。直訳すれば、「人間はこの仕事に応募しないでください」という意味です。この動画ではいかに筋肉労働がロボットの置き換えられていったか、今後知的労働が人工知能に置き換えられるかを説明しています。


 この動画だけではありません。多くの調査機関や政府機関が今後10~20年以内に今ある業種の40~50%がなくなると予測しています。事務員や臨床医師、弁護士やタクシードライバー、会計士、プログラマーなどがここには列挙されています。残念ながら、これを読んでいるあなたの仕事も多分なくなる業種であるとされています。


そう、もう一度言います。「残念ながら、あなたの仕事はなくなります。」


 まあ、これはしょうがないでしょう。20年前を思いだしてください。当時は大企業であればどこの事務所にもメインフレームに打ち込むためのキーパンチャーがいましたし、現金を数える出納員が必要でしたし、電話交換手が必要でした。今は全く見なくなりました。


未来の頭脳労働はどうなるのか

 では、いかに人工知能やロボットは頭脳労働を置き換えていくのでしょうか。人間の脳は自らの過去の経験からしか未来を推測することができません。それは経験という軌跡を直線的に伸ばした未来です。しかし、実際のテクノロジーは想像できない爆発的な進化をします。今は思いもしなかったことが常識になるのです。


 だから、今後の頭脳労働がどうなるのか、本当のことは誰もわかりません。でも大胆に予測してみましょう。


入力作業は不毛になる

 IoT化が進み、2020年までに数百億の身の回りの機器がインターネットにつながるといわれています。この数字、300億でも500億でもそれ自体に意味はありません。そこから先もう止まることのできない通過点を超えて“分けわかんない状態”になるという点において重要です。カオスとも言います。意味不明な興奮状態かもしれません。


 カメラの映像も店舗のデータも過去の判例も在庫のデータも文房具の使用量もあなたの身体状態もなにもかもすべてインターネットに吸い上げられるのです。データ量も今の数兆倍とかに簡単になります。


過去の判断は太刀打ちできない

 今は、人間が意味づけをしてあげないとほとんどのデータは意味を成しません。しかし、IoT化の時代、そもそもデータが多すぎて人間の限界を超え、膨大なデータを意味づけするのはどんなに徹夜してもできなくなります。それは人工知能に任せましょう。奴らは最初のろまでバカでしょう。最初は人間が教えてあげる必要があります。


 例えば、人工知能は、画像認識上、最初は火事と花火とキャンプファイアーの違いが判らないかもしれません。「馬鹿だな~、やじ馬が居て消防車がいたら火事なんだよ!」とか人間が教えてあげなければいけません。でも、奴らは単純なラーニングで独自の差別化ポイントをすぐに見つけます。(だってWikipediaの膨大な情報を瞬時にサーチできますし)そして、すぐに人間を超えます。


資料(報告書)の類がなくなる

 データを人工知能が判断するでしょうが、それでも報告文書は人間が理解できる言葉で書かなければいけないかもしれませんね。でも、前提となるデータは人工知能がもうすべてそろえてくれています。


 さらに、こちらが思った通りのことをすぐに自然言語で書いてくれるようになるでしょう。しかも、あなたよりもっと恰好良く、確実にデータに基づいた資料です。英語コンプレックスなあなたも気にする必要はありません。最初から英語で書いてくれますよ。(なんならエスペラント語でも)


そもそも仕事相手もいなくなる

 資料の元データとかは人工知能が作ってくれるとして、お役所に出すフォームや提出方法はうどうなるかわかりません。だってそれは行政のスピード次第だから。ビジネスの世界と行政の世界は、空気の層みたいなもので、上の層でジェット気流が吹いていても、下の層はポカポカ陽気だったりします。


 でも、その気温差がタービュランスを生み、そして、我々の乗った飛行機はいつも揺れます。いつまでもカーボン複写で出す人やB6(源泉徴収票)とかに無理やり小さい字で詰め込んで出したい人はいるのでしょう。行政もなかなか難しいです。


 でも、投資の世界などは違います。もうすでに、有価証券報告書の読み手は人間ではなくなっています。アルゴリズム取引とかに使われる人工知能は有価証券報告書とかも読むでしょうが、もっと早い情報を求めています。


 今取引に使われる人工知能が読んでいるのはツイッターです。2013年にAP通信のツイッターアカウントが乗っ取られ、ホワイトハウスで爆発との嘘ツイートされた際、その瞬間にウン百兆の時価総額が乱高下しました。その間約3分間程度です。明らかに人間の仕業ではありません。もしくは神の手を持つ人間?


 そうなると、たとえ自然言語で書かれていても、読む相手の職業がなくなっているのですね。(おそらく官公庁も・・・)だとすると、そもそも報告書のような類のものを作る必要はないはずです。だって、彼らも人間ではなくなっていますから!


実は頭脳労働者のユートピア

 いろいろ考えていくと、一部の仕事がなくなるのは確実な気がします。でも、果たして私の仕事はなくなるのでしょうか。給料はもらえないのでしょうか。私は思うのです。


やりたいことをやればいいだけ

 なぜなら、もう、頭脳労働者は不毛な仕事をやらなくて済むのです。過去の集計を延々と続けていなくてもよくなるのです。過去から解放されて未来に向けて自由になるのです!「自由だ!」


 前述の様に、おそらく過去の集計業務では人工知能には勝てません。同じようにGoogle検索とWikipediaとYahoo!知恵袋とAmazonの購買履歴すべてを味方につけた様な人工知能には、過去の軌跡を延長しただけの単純な予測では太刀打ちはできません。(Amazonはなぜかうちが子供のおむつを買うタイミングを知っているようです。)


 人間は奴ら(人工知能)を欺く未来を考えることを楽しめばよいのでしょう。頭脳労働者の大半は、集計事務作業ではなく、将来の計画を練っているときのほうが楽しいはずです。人工知能が「膨大なデータから見て今晩は麻婆豆腐を食べる人が多い!」って判断したなら、それに難癖をつけていろいろ奴らに試行錯誤させてみたらよいのです(僕は麻婆豆腐が大好きです)。


 なくならない仕事にデザイナーやコピーライターがある理由がわかります。

また、ロボットや人工知能がユートピアを作り出すからと言って、人間が単なる生殖活動マシーンになってしまうのも面白くないですね(いや、面白いか・・・)。


 ロボットが進化したところで、結局のところ人間の相手は人間がする時代はしばらく続くと思います。なくならない業種に、教師やソーシャルワーカーや介護士が入っている理由をよく考えましょう。


 ロボット・人工知能の進化で、エネルギーも食料も不安のない時代が来ます。そうしたら、人間が人間にとって面白い世界を、機械を欺きながら作っていくのです。頭脳労働には過去とは非連続な事業の創造能力が求められます。

なんだかワクワクしますね。

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