バーチャル世界が拡大中、我々の準備は万端か



リアル化し拡大するバーチャル世界


 最近、バーチャルな世界の方が大きくなってきているを感じないだろうか。元々、セカンドライフのような、バーチャル世界のアバターを動かし、リアルな世界とは全く別のバーチャル世界に暮らすという考え方は大昔からあった。Nintendo Switch用に開発されたゼルダの伝説は実際の京都市のマップから作られたという。ゲームの中の世界が実際の京都市と同じ大きさを持っているのだ。


 ユーザーはこの実世界と同じサイズのマップの中で旅をする。そこでは出会いがあり、別れがあり、生きるために戦い、事件がおこり、夢を追う。実世界と同じように暮らしているような感覚になるのであろう。

ゼルダの伝説HPより


テクノロジーにより深まる没入度


 さらに、バーチャル世界は、人間の感覚を取り込む方向で拡大している。テクノロジーの進化によって現実化してきているのだ。特に大きな進化はバーチャル・リアリティ(VR、仮想現実)の世界だろう。ソニーのプレイステーションで提供されるバンダイナムコのサマーレッスンというアプリケーションは示唆的だ。


 このゲーム(?)では、ユーザーが家庭教師という役を演じることで、実際の女の子との関係を築くことができるということで話題になった。もはや2次元ではない、限りなく近寄れる彼女である。バーチャルな世界でバーチャルな人間関係を思い通りに築けるのであれば、我々は煩わしい人間関係を求めなくなるのであろうか。

バンダイナムコ社のHPより

 VRゴーグルは人間の視覚と音声を疑似的に作り出す、そして我々の感覚が簡単に騙されてしまうのも面白い。例えばジェットコースターの動画を見ると人間は重力を感じてしまうのだ。そしてそこにロボティクスやIoTセンサリングのテクノロジーを加えると、もはや人間の感覚はずたずたになる。


 このお菓子メーカーが景品として提供していた4Dゴーグルは試験的な取り組みとして面白い。VRとこのような簡易なロボティクステクノロジーでも、組み合わせるとバーチャル世界はとてつもなくリアルなものになる。アイドルがあーんしてくれるとなれば、男子諸君はこれを試してみたくてしょうがないことであろう。傍目に見れば相当奇異な状況ではあるが。


 このようなテクノロジーの萌芽を我々は馬鹿にはできないところまで来ているのだ。この発展形にバーチャル世界とポルノ業界の融合があるのは想像に難くない。人間は煩わしい人間関係を経なくてもバーチャル世界の中で肉体的欲求を達成できてしまう可能性が高いのだ。これは生命の進化における重要なポイントであるといえる。



ゲーム化するリアル世界とバーチャル世界は融合する


 先日、スピルバーグ監督によるReady Player Oneという映画が公開された。このトレイラー動画を見ていただくのが早いと思うが、近未来をすごくわかりやすく示してくれているといえるだろう。つまり、人間は徐々にVRの世界に没入し、その中で過ごしている時間が長くなる。バーチャル世界の感覚はリアル世界にフィードバックされ、リアル世界と融合し、区別はつかなくなるのだ。


 バーチャルではコンテンツを生産し管理する存在(コンテンツクリエイター)が多数存在し、現実世界とは別の経済圏が回る。一部のコンテンツクリエイターは神のような存在にまでなりえるかもしれない。構築される経済圏はブロックチェーンを用いた改ざん不可能な物である必要があるであろう。


 デジタルなコンテンツの再生産コストは限りなくゼロである。一度作られたコンテンツは際限なくコピーされ複製される。例えば、バーチャルな世界の旅行は限りなくコストが安くなる事が想像に難くない。誰でもどこにでも行けるようになるのだ。相対的にリアル世界のコンテンツ(旅行や人間が提供するサービス)は価値が高くなるに違いない。



さらにその先にある世界まで加速が進む


 このVRとIoTセンサリングによるバーチャル世界の実現、これは未来を予感させるものだと感じることができるだろう。しかし、そこまでテクノロジーが進化した時代にそこで止まるわけはないのが面白いところ。


 実は、次を予感するテクノロジーはすでに登場しているのである。米ボストンにあるこのNeurable社の開発する技術は、VR世界を脳波だけを使ってコントロールする技術である。これも実は簡易的な物であればすでに実用段階にきていることを知っておいた方が良い。

 この技術の延長上には、「考えるだけ」でバーチャル世界で生きていける時代が来るのだ。すでに肉体すら不要な時代の到来は近いのだ。もはや、満員電車に揺られパワハラ上司対策を考えている場合ではない。もうそこまで見えたこのバーチャル時代の到来を見越して我々は着々と準備を進める必要があるだろう。


齋藤和紀

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